ランニングシューズの寿命は何km?買い替え時期の目安と見分け方

  • 今のランニングシューズを何km走ったら買い替えれば良いのかわからない
  • ソールのすり減りやクッションのへたりが、寿命のサインなのか判断できない
  • しばらく履いていないシューズでも劣化しているのか気になる

ランニングシューズの寿命は、アシックスがおおよそ500km、ミズノが600km程度を買い替えの目安として案内しています。距離に届く前でも、ソールのすり減りやクッションの弾力の低下といったサインが出たら、買い替えを考える時期です。

目安を知らないまま履き続けると、クッションや反発が落ちたシューズで練習を重ねていることに気づけません。走行距離と状態の両方で寿命を見極められれば、レースや大事な練習の前に慌てて買い替える事態も避けられるでしょう。

本記事では、メーカーが示す走行距離の目安と幅が出る理由、月間走行距離から買い替え時期を割り出す方法、寿命のサインの見分け方、履かなくても進む経年劣化、寿命を延ばす履き方と手入れ・保管、寿命を過ぎたシューズの使い道を解説します。

タップできる目次

ランニングシューズの寿命は何kmが目安?

シューズの寿命は500〜600kmが目安の図解: アシックス(日本)=おおよそ500km、デサント=500km越え、ミズノ=600km程度、アシックス(海外)=約640〜800km、厚底・レース用=状態で早めに

ランニングシューズの寿命は、走行距離で500〜800kmと幅を持たせて語られることが多く、メーカーの公式サイトでも500kmや600kmといった目安が示されています。幅が出るのは、メーカーごとに目安の置き方が違ううえ、体重や路面、走り方によってソールの減り方が変わるためです。

ミズノが600kmを平均的な数値と説明しているように、メーカーの目安は標準的な使い方を想定した距離です。速いペースの練習やレースで履く厚底シューズは、距離の目安だけで判断せず、シューズの状態を見て早めに見極めます。

ランニングシューズの寿命の距離を考えるうえで押さえたいポイントは、以下の3つです。

  • メーカーが示す走行距離の目安
  • 体重や路面・走り方で寿命の距離は変わる
  • レース用・厚底シューズは距離より状態で早めに判断する

メーカーが示す走行距離の目安

ランニングシューズの寿命は何kmかというと、国内のメーカーが挙げる買い替えの目安はおおよそ500〜600kmです。アシックスの日本の公式サイトは、おおよそ500kmくらいを買い替えのタイミングと考えるのが良いとしたうえで、路面状況によって異なるためあくまでひとつの目安だと添えています。

デサントのコラムが寿命の目安にしているのも、走る距離が500kmを越えたあたりです。ミズノは600km程度を目安に買い替えを案内しており、600kmは平均的な数値だと説明しています。アシックスの海外サイトでは400〜500マイルごとに買い替えを検討するようすすめていて、1マイル=約1.609kmで換算した距離は約640〜800kmです。

メーカー 走行距離の目安 メーカーの補足
アシックス(日本) おおよそ500km 路面状況によって異なる、ひとつの目安
デサント 500kmを越えたあたり –
ミズノ 600km程度 平均的な数値
アシックス(海外サイト) 400〜500マイル(約640〜800km) 摩耗のサインが無ければ長く履ける場合もある

よく言われる500〜800kmという幅は、500km前後を基準にする国内メーカーの目安と、約640〜800kmにあたる海外サイトの目安の違いによるものです。アシックスとミズノが目安を「ひとつの目安」「平均的な数値」と位置づけているとおり、距離は買い替えを考え始める時期の物差しとして使い、最終的な判断はシューズの状態で下します。

体重や路面・走り方で寿命の距離は変わる

同じモデルを履いていても、体重や走る路面、着地の仕方によってランニングシューズの寿命の距離は前後します。体重が重い人ほど着地の衝撃が大きくなって劣化が早まり、アスファルトのような硬い路面を走る人もソールへの負担が増える、というのがミズノの説明です。

アシックスの海外サイトによると、舗装路ばかり走ると未舗装路を走るより早くシューズが減ります。オーバープロネーション(着地のときに足が内側へ大きく倒れ込む動き)が大きい人や、体重が重い人、背の高い人も減りが早い傾向にあります。

着地の仕方は、減る場所にも関わる要素です。かかとから着地する人はかかと側が、前足部から着地する人は親指の下や前側の外側が減りやすく、かかと着地の人は買い替えの頻度が高くなりやすいとアシックスの海外サイトは説明しています。

自分の走り方に近い条件を当てはめ、舗装路が中心で体重がある人ほど目安より早めに状態を確かめるなど、目安を前後させて考えるのが現実的です。補正の幅は人によって違うため、距離は買い替えを意識し始める合図とし、ソールやミッドソール(靴底のクッション材にあたる部分)の状態で最終的に判断します。

レース用・厚底シューズは距離より状態で早めに判断する

レース用や厚底のシューズは、600kmのような距離の目安を一律に当てはめず、ミッドソールの状態を見て早めに買い替えを判断するのが基本です。ミズノは600kmを平均的な数値としたうえで、ジョギング中心の人とスピード練習を頻繁に行う人では消耗度合いが異なると説明しています。

厚底シューズはミッドソールを厚く仕立てたランニングシューズのことで、ミッドソールに炭素繊維の板(カーボンプレート)を入れたものがカーボンシューズです。メーカーが示す500kmや600kmは厚底シューズやカーボンシューズの寿命として示された距離ではないため、ミッドソールの側面に縦のシワが増えていないか、押したときの弾力や走ったときの反発が落ちていないかを、練習のたびに確かめます。

本番で使う一足は練習用と履き分け、レースや仕上げの練習に絞って履くと、本番まで状態を保ちやすくなります。シワや反発の低下が目立ってきたら、次の厚底ランニングシューズへの買い替えを考える時期です。

厚底のランニングシューズへ買い替えるなら、以下の記事でブランド別に紹介しています。

月間走行距離から買い替え時期を割り出す方法

シューズの買い替え月は4つの手順で出すの図解: 1. 1足ごとに距離を記録する → 2. 目安の距離÷月間走行距離 → 3. 使い始めた月に月数を足す → 4. その月に状態を確かめる

ランニングシューズの寿命を距離で押さえたら、目安の距離を月間走行距離で割ることで、買い替えの時期を「何ヶ月後」という形で見通せます。毎月の走る量がおおよそ決まっているランナーほど、次の一足を用意するタイミングを練習計画に組み込みやすくなります。

計算の土台になるのは、1足ごとに実際に走った距離の記録です。走行距離の残し方と、複数のシューズを履き回すときの数え方まで押さえておくと、計算した時期と実際の状態とのずれを小さくできます。

月間走行距離をもとにした買い替え時期の割り出し方は、以下のとおりです。

  • 目安の距離を月間走行距離で割って買い替えの月を出す
  • 走行距離はアプリや記録で管理する
  • 複数のシューズを履き回すときは1足ずつ距離を数える

目安の距離を月間走行距離で割って買い替えの月を出す

ランニングシューズの買い替え時期は、メーカーの目安の距離を自分の月間走行距離で割ると、何ヶ月後かの形で出せます。式にすると「目安の距離÷月間走行距離=買い替えまでの月数の目安」で、使い始めた月に求めた月数を足した月が買い替えの月です。

メーカーも同じ考え方で期間の目安を示しています。デサントのコラムによると、500kmを越えたあたりを寿命として、1ヶ月100kmほど走る人なら半年程度、1ヶ月200km走る人なら3ヶ月程度が目安です。ミズノは600km程度を目安に、週20kmなら7〜8ヶ月程度、週30kmなら5〜6ヶ月程度を使用期間の目安に挙げています。

走る量 買い替えまでの期間の目安 メーカー(距離の目安)
1ヶ月100kmほど 半年程度 デサント(500kmを越えたあたり)
1ヶ月200km 3ヶ月程度 デサント(500kmを越えたあたり)
週20km 7〜8ヶ月程度 ミズノ(600km程度)
週30km 5〜6ヶ月程度 ミズノ(600km程度)

計算した月は、あくまで距離から見た目安です。ソールのすり減りやミッドソールのシワなど寿命のサインが先に出たときは、計算した月を待たずにサインを優先して買い替えます。反対にサインがまだ見られなければ、計算した月を状態を確かめるタイミングとして使う方法もあります。

走行距離はアプリや記録で管理する

走行距離は、シューズごとに記録できるランニングアプリで管理すると、買い替えの目安を見失いません。アシックスの日本の公式サイトは、購入した時期や走った距離は曖昧になりやすいとして、シューズごとに距離を記録できるランニングアプリの活用をすすめています。

記録しておきたいのは、シューズを使い始めた日と、1足ごとに走った距離の2つです。アプリを使わない場合も、手帳や表計算ソフトに日付と距離を書き足していけば、目安の距離にどこまで近づいたかがすぐにわかります。

毎回の記録が積み重なると、月間走行距離も実際の数字で出せるようになり、買い替えの月を見直しながら決められます。毎回記録すれば買い替えの目安になり、複数足を持つ人にも便利だというのがアシックスの説明です。

複数のシューズを履き回すときは1足ずつ距離を数える

目安の距離の線に対して、2足の合計の距離は超えていても、ジョギング用とレース用それぞれの距離はまだ届いていないことを横棒で示したイラスト

練習内容で2足以上を履き回しているときは、合計の距離ではなく、1足ごとに走った距離を目安と比べます。合計の走行距離が目安を超えていても、2足で分け合っていれば、1足あたりの距離はまだ目安に届いていないことがあります。

レース用と練習用を分けているランナーほど、1足ずつの管理が欠かせません。レース用はレースや仕上げの練習に絞って履くため距離が伸びにくい一方、ジョギング用は出番が多く、先に目安へ近づきます。どの一足が目安に近いかを分けて見ておけば、買い替える順番を決めるのも簡単です。

履き回しの距離を数えるときは、走るたびにどのシューズを履いたかを記録に残します。シューズごとに距離を残せるアプリなら、履き分けた分の距離もシューズ別に振り分けて管理できるため、手間もかかりません。

ランニングシューズの寿命が来たサインと見分け方

シューズの寿命は部位ごとのサインで見るの図解: ミッドソールが見えても履き続ける→寿命と考えて買い替える、見た目がきれいなら大丈夫と思う→ミッドソールのシワと弾力を見る、アッパーの破れを気にせず履く→つま先と履き口・かかとを見る、片側だけ減

ランニングシューズの寿命は、目安の距離に届いていなくても、シューズの状態にサインとして表れます。目安の距離に届かなくても、クッション性や反発力の低下を感じたら寿命が近いサインの可能性がある、というのがミズノの説明です。

見分けるときは、アウトソール(地面に触れる靴底のゴム部分)、ミッドソール、アッパー(足の甲を包む生地の部分)と部位ごとに確かめると見落としが減ります。走ったあとの体の感覚も、メーカーが買い替えのサインに挙げている判断材料のひとつです。

ランニングシューズの寿命が来たときに表れるサインは、以下の5種類です。

  • アウトソールがすり減ってミッドソールが見えている
  • ミッドソールにシワが寄り、弾力がなくなった
  • アッパーのつま先や履き口が破れている
  • 平らな場所に置くと傾く・左右で減り方が違う
  • 走ったあとの疲れや違和感が増えた

アウトソールがすり減ってミッドソールが見えている

ランニングシューズを横から見て、かかと側のアウトソールがすり減り、下のミッドソールが見えている部分を丸で示したイラスト

アウトソールの溝が浅くなり、削れたゴムの下からミッドソールが見えてきたシューズは、寿命を迎えたと考えて買い替えます。アシックスの日本の公式サイトが買い替えをすすめているのも、アウトソールの模様がすり減っている場合やミッドソールが露出している場合です。

ミズノも、靴底の溝が明らかに浅くなっている状態や、一部が完全にすり減っている状態を買い替えのサインに挙げています。アシックスの海外サイトが示すのは、ゴムのアウトソールが削れて下の柔らかいフォームが見える状態で、デサントのコラムもアウトソールがすり減ってきたら寿命と考えるよう案内しています。

ソールのすり減りは、グリップにも関わる問題です。スポーツシューズガイドブック(日本スポーツ用品工業協会が発行し、ミズノの公式サイトに掲載されている冊子)は、ソールがすり減っていると本来のグリップ性が発揮できなくなると説明しています。かかとや前足部など減りやすい場所を、走る前に裏返して確かめると変化に気づきやすくなります。

ミッドソールにシワが寄り、弾力がなくなった

ランニングシューズを横から見て、ミッドソールの側面に縦のシワが寄っている様子を丸で囲んで示したイラスト

ミッドソールの側面に縦のシワが寄っている、押しても弾力を感じない、といった状態は、クッションがへたってきたサインです。アシックスの日本の公式サイトは、ミッドソールにシワが寄っていたり、触ると硬くなっていたりする場合は本来の機能が失われている可能性があるとしています。デサントのコラムも、ミッドソールのシワは圧力がかかり続けたことによる劣化のサインだと説明しています。

硬さの変化は、硬くなる方向とは限りません。ミズノは以前より硬く感じる状態や足が疲れやすくなった状態を、アシックスの海外サイトは柔らかくなりすぎて押すと簡単につぶれる状態を、摩耗のサインに挙げています。新品の頃と比べて沈み込み方が変わったと感じたら、どちらの方向でも注意が必要です。

見た目に問題がなくても、内部の構造や機能が落ちていることがあると、アシックスの海外サイトは説明しています。外観がきれいなシューズでも、目安の距離に近づいていて走ったときの反発が弱く感じるなら、ミッドソールの劣化を疑います。

アッパーのつま先や履き口が破れている

ランニングシューズを横から見て、アッパーの破れを確かめたいつま先・履き口・かかとまわりを丸で示したイラスト

アッパーの生地が破れたり、縫い目がほつれたりしているシューズは、十分に履いた証拠です。アシックスの日本の公式サイトは、生地のほつれや破れを、大会中に壊れると困るためわかりやすい判断材料として挙げています。

確かめたい場所は、つま先と履き口、かかとまわりです。アシックスの海外サイトは、つま先が擦り切れてアッパーが破れる状態や、ヒールカウンター(かかとの形を保つために内蔵された硬い芯材)が動いて支えが弱くなった状態を、摩耗のサインに挙げています。ミズノが買い替えのサインに挙げているのも、アッパーの破れや縫い目のほつれ、接合部の損傷です。

かかとの内側の擦れや破れは、履き口からのぞけばすぐに見つかります。かかと部分を指でつまんで左右に揺らし、新品の頃より大きく動くようなら、ヒールカウンターの支えが弱まっているサインです。

平らな場所に置くと傾く・左右で減り方が違う

平らな床に置いたシューズを後ろから見て、真っすぐ立つ靴と、ソールの片側がすり減って傾く靴を並べたイラスト

シューズを平らな床に置いたとき、真っすぐ立たずに内側や外側へ傾くようなら、摩耗が進んでいるサインです。アシックスの海外サイトは、平らな場所に置いて真っすぐ立たないことを摩耗のサインのひとつに挙げており、左右のシューズを並べて置くだけで確かめられます。

左右で減り方が違う、片側だけが極端にすり減るといった偏りも、見逃せないサインです。ミズノは左右で摩耗が違う状態を買い替えのサインに挙げ、アシックスの日本の公式サイトは、片側だけ極端にすり減るのは着地のクセ(がに股気味など)のサインで、すり減ったまま走り続けると安定感が損なわれ、フォームも改善しにくいと説明しています。

減り方は、次の一足を選ぶときにも役立つ材料です。アシックスの海外サイトは、古いシューズのソールでかかとと前足部のどちらが多く減っているかを確かめ、古いシューズを持ってランニングショップでフィッティングを受けるようすすめています。

走ったあとの疲れや違和感が増えた

以前より走ったあとに脚が疲れる、走りが重いと感じるようになったときも、シューズの寿命を疑うきっかけのひとつです。ミズノは、今まで感じなかった膝や足首、腰などの痛みや違和感と、推進力が落ちて走りが重く感じることを、買い替えのサインに挙げています。

アシックスの海外サイトでも、走ったあとの筋肉痛が強くなったことは摩耗のサインのひとつです。ただし、疲れや痛みの原因はシューズとは限らず、練習量の変化や体調も関わるため、ソールやミッドソールの状態と合わせて判断します。

痛みや違和感が続くときは無理に走らず、練習を休んで様子を見ます。痛みが引かない場合は医療機関に相談し、シューズの買い替えだけで解決しようとしないことが大切です。

走らなくても劣化する?ランニングシューズの経年劣化

履かないシューズも年数で劣化するの図解: アシックス(日本)=未使用で3〜4年、デサント=購入から3〜4年、ミズノ=製造から2〜3年、ポリウレタン=はがれに注意、長期間保管=履く前に確認

ランニングシューズの寿命は走行距離だけで決まらず、履いていない間にも素材の経年劣化が進みます。アシックスとデサント、ミズノは年数の目安を示しており、走る量が少ない人ほど、距離より先に年数で寿命を迎えることがあります。

一方で、メーカー各社が協賛するスポーツシューズガイドブックの立場は、劣化の進み方は置かれた環境で大きく変わるため、耐用年数は予測できないというものです。年数の目安と保管環境の両方を踏まえておけば、しまい込んでいたシューズを履くかどうかを落ち着いて判断できます。

履いていないランニングシューズの経年劣化について知っておきたいことは、以下の3点です。

  • 履かなくても素材は年数で劣化する
  • ポリウレタンの劣化でソールがはがれることがある
  • 長く保管していたシューズは履く前に確かめる

履かなくても素材は年数で劣化する

ランニングシューズは、未使用のまましまっておいても、年数とともに素材が劣化します。アシックスの日本の公式サイトは未使用でも3〜4年経てば素材は劣化するとし、デサントのコラムが挙げる経年劣化による寿命の目安も、まったく使用していないシューズで購入から3〜4年程度です。

ミズノは、走行距離が少ない人は製造から2〜3年程度を寿命の判断の目安にするとしています。ミッドソールのフォーム素材は使わなくても酸化や圧縮で性能が落ちるおそれがあり、未使用でもクッション性や反発性が失われている可能性があるという説明です。

メーカー 経年劣化の目安
アシックス(日本) 未使用でも3〜4年で素材が劣化
デサント 購入から3〜4年程度
ミズノ 製造から2〜3年程度(走行距離が少ない人)

年数の数え始めが、メーカーによって「購入から」と「製造から」に分かれている点にも注意します。店頭に並ぶまでの期間があるぶん、製造から数えるほうが早めの判断になるため、箱にしまったままの予備のシューズほど年数を意識して状態を確かめることが大切です。

ポリウレタンの劣化でソールがはがれることがある

水分の作用でポリウレタンの結合が切れる加水分解と、その結果ソールがはがれたり表面がひび割れたりしたシューズを矢印でつないだイラスト

シューズの素材や接着剤に幅広く使われているポリウレタン(合成樹脂の一種)は、時間の経過とともに劣化が進み、ソールのはがれや表面のひび割れを起こすことがあります。スポーツシューズガイドブックが、シューズの自然劣化として説明している現象です。

ポリウレタンが劣化する原因のひとつが、加水分解です。加水分解は水分の作用でプラスチックの結合が切れることで、起こると強度が低下します。東京都が登山靴について行った商品テストでも、ポリウレタン製のミッドソールが壊れた原因は加水分解と考えられるという結論でした。

劣化の進み方は、温度や湿度などシューズが置かれている環境によって大きく変わります。ガイドブックは、環境によって使える期間も異なるため耐用年数を予測することはできないとし、自然劣化は未使用品であっても進むと明記しています。メーカーの年数の目安も、目安の年数までは劣化しないという保証ではありません。

長く保管していたシューズは履く前に確かめる

長く保管していたシューズを、接着部分のすき間を見る、つま先を曲げる、ミッドソールを押すの順に確かめる様子を並べたイラスト

長期間保管していたシューズは、履く前にソールのはがれや素材の劣化がないかを確かめます。長期間保管されていたシューズは劣化している可能性があるため使用前に確かめる、というのがガイドブックの案内です。

確かめる手順は、見る・曲げる・押すの3段階です。まずソールとアッパーの接着部分にすき間やはがれがないか、ミッドソールの表面にひび割れが出ていないかを目で見ます。続けてつま先側を軽く曲げたり、ミッドソールを指で押したりして、ひび割れが広がらないか、表面がぼろぼろと崩れないかを確かめます。

ひび割れやはがれが見つかったシューズは、ランニングには使わず買い替えるのが無難です。異常が見つからなかった場合も、最初は短い距離で履き心地を確かめてから、普段の練習に戻すと安心です。

ランニングシューズの寿命を延ばす履き方と手入れ・保管

シューズの寿命は4つの習慣で延ばすの図解: 靴ひもを結んだまま脱ぎ履きする→緩めて履き、かかとを踏まない、ドライヤーやストーブで乾かす→風通しの良い日陰で乾かす、車のトランクに置いておく→直射日光と湿気を避けて保管、毎日同じ一足を履き続ける

ランニングシューズの寿命を延ばし、1足を長持ちさせるには、履き方と汚れ落とし・乾かし方、保管場所、履き回しの4つを見直します。どれも特別な道具はいらず、脱ぎ履きや走ったあとの扱いを少し変えるだけで取り組めます。

メーカーとガイドブックが共通して挙げているのは、かかとをつぶさないこと、濡れたまま放置しないこと、高温多湿を避けることです。走行距離による摩耗は避けられませんが、扱い方による余計な傷みは減らせます。

ランニングシューズを長持ちさせるために見直したい習慣は、以下の4つです。

  • 靴ひもを緩めて履き、かかとを踏まない
  • 汚れを落とし、濡れたら風通しの良い日陰で乾かす
  • 高温多湿の場所や車のトランクに置かない
  • 複数のシューズを交互に履く

靴ひもを緩めて履き、かかとを踏まない

かかとを踏んでヒールカウンターがつぶれたシューズを横から見て、元のかかとの形を点線で示したイラスト

シューズを長持ちさせる履き方の基本は、靴ひもを緩めてから足を入れ、かかとを踏まないことです。アシックスの日本の公式サイトは、靴ひもを結んだまま脱ぎ履きしたり、かかとを踏んだりしないようすすめ、靴ひもは毎回ほどいてから結び直すと良いとしています。

かかとを踏むのが良くないのは、かかとを守るヒールカウンターがつぶれてしまうためです。ガイドブックも、靴ひもを緩めずに強引に足を入れるとかかと部の変形や破損につながるとし、無意識にかかとの上に足を乗せることを繰り返すと、弱い圧力でもヒールカウンターが変形して元に戻せないと注意しています。

脱ぐときも、靴ひもを緩めてからが原則です。デサントのコラムは、靴ひもを締めた状態のまま脱いだり履いたりするとシューズを傷めると説明しています。靴ひもをほどかずにかかとに引っ掛けて強引に脱ぐと、ソールがはがれたりシューズが破損したりするおそれがある、というのがガイドブックの注意です。

汚れを落とし、濡れたら風通しの良い日陰で乾かす

走ったあとはアッパーやソールの汚れを落としてから保管し、濡れたシューズは風通しの良い日陰でしっかり乾かします。ガイドブックは、雨などに濡れたままの保管は劣化を進めるとしています。

ランニングシューズの洗い方は、デサントのコラムによると、土は乾かしてから払って落とし、シューズ用洗剤などを溶かしたぬるま湯で優しく洗ってしっかりすすぐ流れです。アシックスの日本の公式サイトも、ぬるま湯と中性洗剤でこすりすぎないよう優しく洗い、外せる中敷は外して洗うようすすめています。

濡れたあとは乾いたタオルなどで水分を取り、直射日光の当たらない風通しの良い日陰で乾かします。ヘアドライヤーやストーブの前で乾かすのは避けましょう。ガイドブックは、変形や変質を招くだけでなく、やけどや火災の原因にもなるとして、ドライヤーやストーブでの乾燥をはっきり禁じています。

ガイドブックによると、コインランドリーなどにある靴専用の洗濯乾燥機も、シューズを傷めたりフィット感が変わったりする場合があるため注意が必要です。急いで乾かしたいときほど、タオルで水分をしっかり取ってから日陰に置く方法を選びます。

高温多湿の場所や車のトランクに置かない

ランニングシューズの保管方法は、直射日光と湿気を避けた風通しの良い場所に、重ねずに横に並べて置くのが基本です。デサントのコラムは直射日光を避けた風通しの良い場所で重ねずに横に並べて保管するよう案内し、アシックスの日本の公式サイトも湿気の多い場所や直射日光を避けるよう注意しています。

車のトランクや屋外の物置も、シューズの置き場所には向きません。ガイドブックは、高温になりやすい場所での保管は短時間でもシューズの変形やソールのはがれを招くとし、温度や湿度が高く通気が悪い場所ほど劣化が進むとも説明しています。

走ったあとにシューズ袋へ入れたままにするのも避けたい扱いです。アシックスの日本の公式サイトは、ソールの傷みや生地の縮みにつながるとして注意を呼びかけています。しばらく履かない時期が続くときは、高温多湿を避けた通気の良い場所に置き、時々陰干しするのがガイドブックの案内です。

複数のシューズを交互に履く

2足以上のシューズを交互に履くローテーションも、1足あたりの寿命を延ばす方法のひとつです。ミズノは、複数のシューズを交互に履くことでシューズの寿命を長持ちさせる効果も期待できるとし、デサントのコラムも、交互に使うことが劣化を遅らせ寿命を延ばすことにつながると説明しています。

アシックスの日本の公式サイトが、習慣的にある程度の距離を走る人に複数足の所有をすすめるのも、毎日同じ一足を履き続けると傷みが早まるためです。長い距離を走る日とスピード練習の日で履き分けるなど、練習内容に合わせて使い分けると、ローテーションの役割分担もはっきりします。

ローテーションを始めたら、走行距離は1足ずつ記録します。どのシューズが目安の距離に近づいているかがわかれば、すべてのシューズが同じ時期に寿命を迎える事態を避け、買い替えの時期をずらせるのも利点です。

寿命を過ぎたランニングシューズの使い道

寿命を過ぎたシューズは歩く用途で使うの図解: 普段履き=はがれなし、散歩・買い物=歩く用途だけ、他のスポーツ=使わない、雨の日=履かない

ランニングシューズの寿命を過ぎた一足にも、走るのをやめたあとの使い道として、普段履きや散歩用に回す方法があります。ただし、ランニングに使えなくなったシューズは、ソールのすり減りやクッションの劣化が進んだ状態です。

ガイドブックは、スポーツシューズの普段履きや、すり減ったソールで濡れた路面を歩くことについて注意を促しています。普段履きに回すときの注意と、雨の日に履かないほうが良い理由を押さえておくと、古いシューズを使い切るときに迷いません。

寿命を過ぎたランニングシューズを使い切るときに気をつけたい点は、以下の2つです。

  • 普段履きやウォーキングに回すときの注意点
  • ソールがすり減ったシューズは雨の日に履かない

普段履きやウォーキングに回すときの注意点

古いランニングシューズを普段履きやウォーキングに回すときは、ソールのはがれやひび割れが出ていないものに限ります。ソールがはがれかけていたり、表面にひび割れが出ていたりするシューズは、普段履きに回すのも避けるべき状態です。

ガイドブックは、スポーツシューズを普段履きとして使う場合、社会生活の中で起こりうる危険すべてに対応できるわけではないと説明しています。ランニング用の設計は走ることを前提にしており、日常のあらゆる場面での安全まで見込んだものではない、という意味です。

走る以外のスポーツへの転用も避けます。ガイドブックによると、ランニングシューズでコンクリートのような硬い路面でキャッチボールやサッカーをすると、ソールがはがれたりアッパーが破損したりすることがあります。近所の買い物や散歩など、歩く用途にとどめて使い切るのが賢明です。

ソールがすり減ったシューズは雨の日に履かない

溝が残ったソールと、すり減って平らになったソールを濡れた路面の上で見比べ、すり減った方が滑りやすいことを示したイラスト

ソールがすり減った古いシューズは、雨の日には履かないようにします。ソールがすり減っていると本来のグリップ性が発揮できなくなり、雨天など滑りやすい路面では突然滑ることがある、というのがガイドブックの説明です。

寿命を過ぎたシューズを「汚れても構わない雨の日用」にする使い方も避けます。ソールの材質やデザインにかかわらず濡れた路面は乾いた路面より滑りやすく、すり減ったソールでは滑りやすい条件が重なるためです。

雨の日にも走りたいときは、水が入りにくい防水のランニングシューズを用意する方法があります。ただしガイドブックによると、防水仕様は濡れた路面で滑りにくい構造ではなく、履き口からの水の浸入も防げません。雨の日用の一足を用意するなら、ソールの溝がしっかり残った防水のランニングシューズを選びます。

雨の日用に防水のランニングシューズを選ぶなら、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

ランニングシューズの寿命は、国内メーカーの目安でおおよそ500〜600km、アシックスの海外サイトでは約640〜800kmとされ、体重や路面、走り方で前後します。目安の距離を月間走行距離で割れば買い替えの月を見通せますが、ソールのすり減りやミッドソールのシワ、走ったあとの違和感といったサインが出たら、距離より状態を優先するのが確実です。

覚えておきたい目安は3つあります。1足ごとの走行距離を記録し、500〜600kmに近づいたら状態を確かめます。履いていないシューズも購入から3〜4年(ミズノは製造から2〜3年)を経年劣化の目安とし、長く保管していたものは履く前にソールのはがれを確かめましょう。寿命を過ぎたシューズは、雨の日には履かないようにします。

靴ひもを緩めて履く、濡れたら日陰で乾かす、高温多湿を避けて保管する、2足を交互に履くといった扱いは、どれも特別な道具がいらない方法です。まずは今のシューズで何km走ったかを確かめると、次の一足を用意する時期が見えてきます。

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この記事を書いた人

学生のころからランニングに親しみ、これまで複数ブランドのランシューを実際に購入して履き比べてきました。このサイトでは各モデルの機能やテクノロジーの違い、選び方をランナー目線で整理し、用途・性能別のおすすめモデルをわかりやすく紹介しています。

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